ハルは大学の講義で出会った。

見た目は世間一般でいう、チャラい男というのだろう。

パーマをあてた髪はクリームのような黄色がかった淡い色。

格好もおばさんたちがいう、だらしないってものだと思う。


ハルが声をかけてきたのは講義が終わった後だった。

いきなり声をかけてきて、新手のナンパなのって思ったけどそんな素振りなんか見せなくてただわたしの話し相手になってくれた。

先輩との関係を終わらせた後だったから、傷心のわたしにはハルという存在がありがたかった。

気を許してしまった。

ハルにとってはコレが最初から目的だったのかもしれない。

だけどそれでもいいって思ってしまった。

だから、今、わたしはハルの腕の中にいる。


先輩とわたしの関係のように、ただ体を重ねるだけ。

わたしにすれば寂しさを埋めるだけの行為。

ハルにしたら性欲処理目的なんだろう。


ただハルに申し訳ないと思うのは、抱かれてる間は快斗先輩と思って抱かれてる。

快斗先輩って呼んでしまう。

だけどハルはそれでいいと言う。


わたしは…

先輩が奏さんを呼んだとき凄く嫌で嫌で哀しくなった。


わたしの名前を呼んでほしかった。



これが先輩とハルとの関係の違い。

わたしは先輩に恋してた。

ハルはわたしに体以外求めようとはしない。


ねぇハル。

わたしなんかより、ハルの名前をちゃんと呼んでくれる人としたほうがハルはいいんじゃないのかな?



わたしはいつも胸が苦しくなるよ。

ハルって呼びたいけど、口をつくようにして飛びだすのは先輩の名前。


ハルは大切な人なのに。

名前を呼んであげれなくてごめんなさい。