「わたし、付き合ってないんです」
「それはどういうことなの?」
ひん握った手を太ももの上で震わせている奏さんにとても申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
奏さんの気持ちを考えるだけで胸がちぎれそうなほど痛くなった。
「わたし…先輩の傍にいたくて…、から、だの関係をもったんです」
「えっ!?」
奏さんを見れなくて自分の太ももの上に置いた手を見ていたけど、きっと奏さんは目を見開いて驚いたに違いなかった。
「わたし、だから付き合ってないんです」
「先輩には好きな人がいて、それでもいいってこんな関係になったんです」
「快斗に…好きな人?」
どうか、どうか
先輩が幸せになりますように。
こんなに誰かの幸せを願える日が来るなんて。
先輩、あなたはわたしの変革者です。