「あっ!」


奏さんの持っていたフォークとフォークにあたってしまった小皿が音を立てて床に転がりおちた。


それを拾うためにイスを立ちしゃがみこむ。



小皿に手を伸ばしたときちょうど奏さんの手も伸ばされていて小皿に届く前に触れあってしまった。


驚いて「ごめんなさい」と発し、手を引っ込めた。



奏さんはゆっくりと小皿を手にとると、小皿を見つめたまま口を開いた。




「なんで彼女なのにそんなこと聞くの?わたし…邪魔だった?」


悲しそうで苦しそうなその声に奏さんを見られなくなって床に視線を落としたまま頭を左右にふった。


「ちっ違います!そういうんじゃないんです…そんな関係じゃない…」



涙が出そうで目頭が熱くなる。それにともない声も震え出す。

そんな様子に気づいたのか奏さんが穏やかな声で言った。

「場所かえよっか…」


わたしは黙ったまま何度も何度も頷いた。