きっとこの想いは叶わない。
そう分かりきったことだったから聞けたのかもしれない。
先輩は奏さんしか見てなくて、わたしはただの後輩。
もう望みがないと心では諦めていたから、こんなことが言えたのかもしれない。
「…お前、何言ってんの?」
わたしの言葉に目を泳がしたけど、すぐにわたしをしっかりととらえた。
だけど、その一瞬を見逃すことはできなくて、わたしを見るその瞳もきっと強がりなんだと思ってしまう。
一瞬の間も肯定しているようで、その後の先輩の言葉なんてただの動揺隠しでしかないと思った。
もしかしたらこの部屋が先輩の気持ちの表れなのかもしれない。
落ち着いた空間が好きな奏さんに合わせてのモノトーン。
奏さんと2ショットの写真。
女物のコップ。
洗面用具。
いたるところに奏さんがちらつく。
これはわたしの想像でしかないけど、絶対にそうだと思う。