先輩の家の玄関先について、呼び鈴をならす。プッって音で先輩が受話ボタンを押してくれたんだと判断して、

「先輩っ♪」

そうインターホンに向かって呼んでみた。


でも、返ってきた声は、わたしの頭をハンマーでなぐりつけたかのように衝撃を与えた。

「あっ…ちょっ、ちょっと待ってください」


………………………っ。


受話が切れたことを知らせるプツッという音。


全身から血の気が引いていくようだった。


な…に、えっ!?

えっ?これ……どうなって、んの?


動揺を隠しきれない。

でも回転しなくなった思考をフルに使って今この状況を把握しようと頑張ってもみる。


可愛い女の人の声。

その声の持ち主。

今頭に浮かぶのはたった一人だけ。


でも、そうでなくてほしいって心の底から思ってる。


そんなのは嫌だって心が悲鳴をあげる。


でも、でも…、期待は期待でしかない。


そうあってほしいって勝手に思ってる陳腐なわたしの願い。




「…はい」

ドアが開くと同時に“彼女”が目の前に現れた。