いったい何のごめんだったのか…、そんなことを聞く勇気なんて持ち合わせていない。
目が覚めると目の前には先輩の眠ってる顔。
自然に先輩の顔に手が伸びた。
鼻、頬、おでこ、唇…順にたどっていく。
『…先輩』
なぜこんなにも虚しいんだろう。
自分でのぞんだ関係なのに。
自分が決めたことなのに。
改めて現実と向き合うと、こうも悲しいことだったなんて。
でも、やめられない。
傍にいたいから。
先輩のそばにどうしてもいたいの。
先輩…
わかってるのに。先輩はわたしなんか好きにならない。
だって、先輩が想っている人は別にいるから。
なのに、こんな関係をつくってしまってごめんなさい。
もう後戻りはできないのに、なにもわかってない子どもでごめんなさい。
先輩のそばにいたいがために先輩を巻き込んでごめんなさい。
『…せんぱ…、ごめんさない』
涙が流れた瞬間、我に返って急いで涙を拭った。
こんな姿見せちゃいけない。
上体を起こそうとお腹に力を入れたら、ものの見事にベッドへと倒れこんだ。
…ったーい!!!!
起き上がれない!!
『サク?』
呼ばれた声にビックリして、まさか聞かれてなかったよねって思いながらも先輩の方に身体を向けた。
『先輩…』
この痛みが先輩との行為を現実のものだと教えてくれるものだとしても、こんなのひどい!
『先輩…、お腹痛くてトイレ行けないよ』
涙を浮かべながら先輩に訴えかけると、一瞬目を見開いただけで後は爆笑された。
こんな爆笑されるなんておもってなくて、ただ単にトイレに行けないって訴えただけなのに、切実なのに、笑うだなんて…
『先輩のバカっ!!!!トイレ連れてって』
何も考えずにとんでもないことを口走ってしまった。