驚いたように目を見開いてわたしを見る快斗先輩。


身体だけだっていい。


身体だけでも求めてくれるなら。


先輩のそばにいられるなら、そんなことだってやってみせる。


バカなわたしは自分から泥沼に飛び込んでしまう。


這い上がろうにも這い上がれない。


先輩の服をさらに強くぎゅっと掴むと、

「それでもいい。先輩と関わっていられるなら、それでもいい」


「はっ…お前、意味わかってんの?身体っつーのは「わかってます!それでも先輩のそばにいたい」


先輩はなおも冷たい瞳をむけてくる。


そんな視線が欲しいわけじゃない。


だけど、先輩のそばにいられるなら、そんな視線だって耐えられる。


「後悔するよ?」


嘲笑うような微笑みを浮かべる先輩。


「後悔、先にたたずです、先輩。」


精一杯笑い返す。


笑うしかなかった。


ここで笑わなかったら先に進めないって本能が叫んだ。


そして…


先輩の一言でわたしたちの関係は始まった。


泥沼の未来へと突き進んでいく。


「サク、後戻りはできないよ?」


その瞳は少し影が潜んでいた。