ハルのときと同じように、でもその時とは違う気持ちでキッチンに立つ。


離れる前の最後の朝ごはん。

今日、わたしは出ていく。


優斗には伝えてない。

伝えてもどうしようもないと思ったから。

だってその日に何一つ反応してくれなかったらホントにめげちゃいそうだし。



これが最後になりませんよに。

そんな願いも込めている。


いつかまた優斗と一緒に住んでこうしてご飯を作りたい。

その時には、

どうか、どうか、

2人とも同じ気持ちでありますように。


キャリーバッグに必要なものを詰め込んでおいたものを片手に部屋を後にする。

優斗の顔見てからとか思ったけど、見たら決心が鈍りそうだからやめておいた。

部屋に残したものは残してくれてたらいいなってちょっとだけ思うけど、そんな図々しくはないから“捨てておいてください”そう置き手紙を残しておいた。もちろん少なからずのお金をつけて。



ねぇ、優斗。

優斗は茜が好き。

その気持ちは分かったよ。

でも、わたしのこと少しでも恋愛対象としてみてくれること祈ってるよ。

それが茜よりも小さい気持ちでもそういう対象でみてくれるようになったってだけでわたしにとっては大きな進歩だから。




優斗、好きだよ。


この気持ちがどうか届きますように。



そう願いながら、新しい出発点として大きく息をはいて握りこぶしに一度力をいれてから力強く踏み出した。



-3ターン目 完-