そんなわたしはどうやったら笑って別れられるのか考えてた。

どうしても考えられなくて、

「ごめんね」

って聞こえるはずもない相手の背中に向かって呟く。



漫画だったらここで

「何が?」

なんてホントは起きてて返事が帰ってくるけど、そんなことは起こらない。


だって気持ち良さそうな寝息をリズムよく上下に動く体がそこにあるから。



ハルのことを考えて涙した日はたくさんあるけど、考えてみれば優斗を思って涙を流したのって今回が初めてなんじゃ…

…初めてな気がする。


だって、いつも泣くのは優斗のことじゃなかった。

優斗は優しかったから泣くようなことしなかったもん。



そう考えるとやっぱり恋って怖い。

だって泣かずに済むこと、済んでたことに泣いてしまうくらい感情が揺さぶられるんだから。