こんな顔見られたくない。
泣いてる顔なんて卑怯だ。
こんなの絶対に見せない。
俯くように顔を優斗から逸らすと包丁をしめじから抜いてまな板の上にそっと置いた。
ダメだ。
ここにいたからダメ。
そう本能が警笛を鳴らす。
だから、右手から離れていく優斗の手が寂しいなんて思いながら
「ごめんね」
そう言ってマンションを飛び出した。
冷たい夜風が余計に身を寒くする。
寂しい心までも凍りつかせてしまいそう。
…いっそのこと凍りついてしまえばいい。
そうしたら、寂しいなんて一人でも感じなくなる。
苦しい恋心も…
なんて、優斗が好きで好きで仕方ないのに無理だ。
こんなに好きになるなんて思ってなった。
胸が痛くて、でも温かくて、締め付けられるように嬉しくて、でも心臓が飛び出るかのように高鳴ったり。
今もほら、
自分で飛び出したくせして、
離れた方がいいとか思ってたくせして、
会いたい気持ちで涙が止まらない。
抱き締めてもらいたくてウズウズする。
優斗もこんな気持ちになってくれたら…、いいのに…。

