どのくらい悩んだろう。
どのくらい時間がたったんだろう。
今日は昼まで仕事のわたしに対して優斗はフル。
「電気もつけずに何してんのさ」
自分の部屋でちっちゃな一人掛けのソファーに三角座りしながらケータイを眺めていた。
そんなわたしに背後から忍び寄るように優斗が近づいてきてわたしの肩に両手を置いた。
「ちょっとね…」
内心慌てたけどそれを悟られないようにゆっくりと画面を閉じた。
見られてないよね?
これが正直な心境。
今、優斗に彼女のことを思い出して彼女の名前を呼んでほしくない。彼女の名前を呼ぶのを聞きたくない。
自分の醜い嫉妬が渦巻いてすごくイヤな感じ。
それすらモヤモヤする。
こんな自分にも嫌気がさす。
好きなだけなのに、好きになってもらいたいだけなのにそのゴールが遠すぎて姿すら確認できない。
なのに優斗は、
「さくらとアイツは親友だったんだろ?」
そんなことを声かけしてくる。
“アイツ”ね…
名前を呼ばなくても、その呼び方は親近感たっぷりだよ。
優斗がいうように親友だったよ。
一方的なんかじゃなくてお互いが思ってたんだよ。
だからこそ、ツラいんだよ。
ケータイ画面を見られていたことはどうしようもないし、優斗が後押ししようとしてくれてるのは嬉しいけど、それは何のためなの?
茜のため―――――?