奏さんたちと別れるときに奏さんがわたしの右手を両手で握って、

「頑張ってね」

そう励まされた。


「はい」

って笑ってみたけど、正直どう頑張っていいのかなんてわからない。


だって、鈍チン優斗に気づいてもらうなんて戦いに勝利しなければならないもの。

そう簡単にはいかないってわかってる。



だけど、何もしないまま誰かに優斗を捕られてしまうのだけは嫌だ。


何もしないまま優斗が誰かを好きになってしまうのも嫌だ。



だからやるしかない。

やれるだけのことはしたい。


わたしがずっと優斗の傍にいたい。

優斗に傍にいてほしい。



そのためには、最初に言っておかなきゃいけないよね。

自分の気持ちを伝えておかなきゃ始まらない。



優斗、わたしね…