今日居なければいいな、なんて思ってる時ほどいたりするもので、退勤時間になって外を覗いてみると駐車場近くの柱にもたれ掛かってるあの人の姿があった。


だから少し憂鬱になってため息を一つこぼすと、隣に気配もなく立った優斗が、

「会いたくない?」

そう聞いてきた。


驚いて横を向いたけど優斗は真っ直ぐ窓の向こうにいるあの人を見ていたから、わたしも外へと視線を戻した。

驚いたのは2つ理由があった。


もちろん一つは気配もなく現れたから。


もう一つは、…最近にしてはそれが優斗らしくない発言だったから。

“会いたくない?”なんて言った言葉を否定するようなこと言わなかったのに。

わたしの気持ちに寄り添うように投げ掛けられた言葉はわたしの胸を少しだけ締め付けた。


会わないでいいなら会いたくなんてない。

まだ、外に立つ彼を許せていない。本気で好きになって、知らなかった分だけ裏切られた気持ちに歯止めがきかなかった。


茜も彼もまだ心が近寄ることを拒否してる。

だけど、…ね、優斗。

優斗がいると思うから、会ってもいいかなって覚悟が出来た。


だから、…ね、優斗。


わたし――――――…


「会うよ」