「…ハル」

そう小さく呼ぶと、ビクッと小さく体を震わせた。



「まだ好きなのか?」

じっと見てくるから何を言うのかと思ったら、質問の主旨もよくわからないことを聞いてきた。


「…何が?」

そう質問返しするしかない。

ただキツくならないようにゆっくり聞き返した。


なんでキツイとかそんな言い方気にしてるんだろうって思うけど、単にハルの悲しそうな表情をこれ以上見たくなかったからだ。





「ずっと好きだったろ?」


なぜ修飾語がないんだろうって思うけど、ハルが何を言いたいか分かってしまったから言えなかった。



わたしが“先輩を”ずっと好きだったのをハルは知ってる。

ハルはそのことを言ってる。



まだ好きかって聞かれたら、答えなんて決まってる。



「大好きだよ」



でもそれは、



男としてじゃない。


「先輩として大好きだよ」