空のコップを、しずかに見つめる。 口内にはもう、あの甘さは残っていない。 確かにそれがここにあったのだという、 香りも味も、ぜんぶ。 隣の席のカップルらしき二人組みが、仲良さ気に話す声が耳に届く。 自分もついこの前まではこうだったのだろうかと思い、何だか妙に笑えてきて、肩が小さく震えた。 そんな自分は より一層 みじめで、情けなくて。 私はとうとう、耐え切れずに席を立ち、店を出た。