「みきちゃん」



私と同い年のたっくんは、いつも下の名で私を呼んだ。

誰もが私のことを「ミヤ」とあだ名で呼ぶ中、彼だけがごく自然に私の名を呼ぶのだった。


私はその低く落ち着いた声で唄うように呼ばれるのが大好きで、自分の名が特別な響きを持つようで、その優しい声を何度も聞きたくて、


…時々彼の声が聞こえないふりをした。






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