ふあぁぁぁ。


オレは何度目かのあくびを何とかかみ殺した。



「……魔力を練るには、日々の鍛錬と厳しい禁欲が必要である。

何かに心を奪われるだけでも、精神集中が欠けて、修練がおろそかになることを……」


じいさんの長口上はまだ続いてる。

いっつもいっつも同じようなことを言ってるから、ついつい眠くなるんだ。




オレは隣のルカに小声で話しかけた。


「禁欲ってったってなぁ、女ひとりもいないのにどうしろってんだよな」


そう、ここには残念ながら女は一人もいない。

男ばっかりの世界だ。


魔道士は普通、男しかならないからな。

女の魔道士なんて、聞いたことがない。