「分かったわよ。どうせ私が悪いです。くだらない冗談言ってる暇があるなら、さっさと行動しろ……って言いたい訳でしょ? 分かったって」
ブツクサ言いながら昭と位置を変わった真輝。
そんな真輝を、チラッ、と見てから、再び視線を男にやる昭。
「言っとくが、銃突き付けられながら小細工する程、俺は神経図太くないんだ。
それにこの若さで死んじゃたまんねぇーし……あっ、それに俺、一人っ子だから家継がなきゃなんねぇーし。
今年は大学受験だからさ、それに受かって、こいつから祝いの品貰うまでは、死んでも死にきれねぇーんだよ」
どうやら、昭の頭の中には、『拉致された後で殺される』……と言う考えは全くないらしい。

