流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜

周りは全て黒い人力車ばかりだったが、幸姫を乗せた人力車は真っ白のものだった。

「どうしてこれだけ白いの?」

不思議そうに幸姫が聞くと、お兄さんは笑って答えた。

「これは特別なやつでね、この白色の人力車は、日本でも2台しかないんだよ」

言われて幸姫はきょとんとした顔をする。

「時々、遠くにこの車が出張して行ったりするんだけど、なかなかこれに乗れることは少なくってね。おじょうちゃん、ラッキーだったね」

お兄さんは、幸姫の方を向いてにっこりと笑った。幸姫もつられてにっこりと笑う。

「わぁ、みてみて!あれ、可愛い!」

横を通り過ぎていったカップルが、幸姫の方を指差して言った。

「白い人力車って初めてみた!」

首をかしげて、声のした方をみると、お姉さんの方が、幸姫に向かって手を振ってきた。幸姫も笑って手を振り返す。

「おじょうちゃん、人気者だね」

笑ってお兄さんが言うと、幸姫はまた首を傾げた。

「にんきもの?」

「うーん…みんなが大好きってことかな?」

苦笑いを浮かべて言うと、幸姫はにっこり笑って答えた。

「のぞみせんせいはみんなだいすきだよ!」

その言葉に首を傾げつつ、お兄さんはあぁ、と頷いた。

「おじょうちゃんの先生?」

「うん!のぞみせんせはきれいでやさしいの!」

そう言うと、お兄さんはにっこりと笑って頷いた。

「そりゃ、人気者だね」

「うん。のぞみせんせいはにんきものだよ」

ニコニコとご満悦の笑顔で、幸姫は人力車から見える風景を眺めた。
赤や黄色、緑に茶色。色とりどりの木々の色に、幸姫は心を奪われていった。