流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜

その光景を見て、慌てて玲子が駆け寄ってくる。

「すいません!ほら、幸姫、ご迷惑になるでしょう」

玲子が言うと、お兄さんはにっこり笑って営業に入った。

「いえいえ、トンでもない。ところでお姉さん、これからどこまで行かれるんです?良かったらお連れしますよ?」

お兄さんが言うと、玲子は苦笑いを浮かべながら首を横にふった。

「ありがたいけど、でも、連れもいますし」

ちらっと幸村の方を見る。幸村はきょとんとした表情を浮かべている。

「おじょうちゃん、乗ってみたくないかい?」

いきなりお兄さんが幸姫に話を振る。聞かれて幸姫は、素直に乗りたい!と頷いた。玲子は少しため息混じりに、仕方がない、とお兄さんと何かを話始めた。

幸姫は大人しく、ちょこんと人力車に座っている。普段、自分の目の高さにないものが見えるのが新鮮で、ただ座っているだけなのに、何かがとても面白いと思えた。

しばらくして、玲子がお兄さんに何かを言うと、今度は幸姫に声をかけてきた。

「幸姫。危ないから、ちゃんと大人しくそこに座ってるのよ」

言われてこくんと頷いた。

「れいちゃんは?」

「3人は乗れないからね。ゆっきーと一緒に、後ろからついて歩くよ」

笑ってそう答えると、お兄さんに向かってお願いしますね、と頭を下げた。お兄さんは頷くと、幸姫のひざにひざ掛けを乗せてくれた。

「それじゃおじょうちゃん。出発するよ」

そう言うと、ゆっくりと人力車を動かした。