流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜

ちゅるちゅるとラーメンをすする幸姫。口の周りに、ラーメンのスープがついていくが、お構いなしに食べ続ける。

「れいちゃん!おかわり!」

なくなった小さな器を玲子に差し出す。玲子はそれを受け取ると、また、麺を少し入れてくれた。

最初、その存在を、不思議そうに眺めていた幸村も、食べてみたところどうやらやみつきになったようで、おいしそうにずるずるっと麺をすすっていた。

「ごちそうさまでした!」

両手を合わせて、またぺこりとお辞儀をする幸姫。玲子も幸村も、ごちそうさま、と小さく呟いた。

少しだけ休憩をした後、3人はラーメン屋を出た。玲子に連れられて、そのまま側にあった道を上っていくと、大きな公園に入っていった。

「ここは、円山公園っていって、春になると、お花見をしに来る人たちでいっぱいになるんだよ」

砂利の上を3人で並んで歩く。幸村は感心したように公園の中を見ていた。

「すばらしいな。手入れが行き届いている」

さすがに、桜も咲いていない状態だったせいもあり、幸姫は少し退屈そうな顔をする。

「ねーれいちゃん。はやく次行こうよー」

幸姫にせかされ、苦笑いを浮かべながら、2人は先に進んだ。円山公園から八坂神社を通り抜け、しばらく歩くと、人力車が数台、並んでいるのが見えた。

「わぁ!れいちゃん!あれなに?」

ばっと幸姫は手を離すと、人力車の側にいたお兄さんの下へと駆け寄っていった。

「こら、幸姫!」

玲子が制止する声が聞こえた気がしたが、幸姫はお構いなしにお兄さんに声をかけた。

「ねぇねぇ!これなぁに?」

目をきらきらと輝かせながら聞くと、お兄さんは笑って答えた。

「これはね、人力車っていって、ここに人を乗せて、これを引っ張っていくんだよ」

おいで、と手招きをされて、幸姫はとことことお兄さんの所へ近寄っていった。すると、ひょいっと持ち上げられたかと思うと、人力車にちょこんと乗せられた。