流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜

朝目が覚めるといつものように、キッチンからトントンっという音が聞こえてきた。まだ眠たい目をこすりながら、リビングに出ると、朝食の支度をしている玲子の姿が見えた。

「おはようございます」

ぼーっとした顔で挨拶をすると、玲子は苦笑いしながらおはよう、と挨拶を返してくれた。

「ご飯できてるよ。あっちの部屋でゆっきーが寝てるから、起こしてきてくれる?」

「ゆっきー?」

首を傾げる幸姫に、玲子は笑った。

「あぁ、幸村。昨日お家に幸姫が連れてきたでしょ?」

言われてはっとする。

「おこしてくるー!」

幸姫はバタバタと隣の部屋へと向かった。

そっと中を除くと、すーっと幸村の寝息が聞こえてきた。幸姫は、ちょこちょこっと幸村の側に寄った。

「ゆきむらーあさだよー」

ペチンと顔を叩こうと手をかざしたとき、幸村の手が、幸姫の腕をがしっと掴んできた。ビックリして思わず尻餅をつく。腕にズキンと痛みが走った。

「うっ…うわぁーん!」

驚きと、痛みと、まるで別人のような幸村に対する恐怖で、幸姫は思わず泣き出した。その泣き声で幸村はハッと我に返る。

「こ、幸姫!?どうしたのだ!?」

言って、自分が幸姫の腕を少し強く握っていたことに気づき、パッと手を離した。

「どうしたの?」

慌てた様子で玲子が部屋に飛び込んできた。玲子の姿を見て、幸姫は玲子の足にしがみつく。

「何があったの?」

訳がわからず首を傾げる玲子に、幸村が申し訳なさそうに答えた。

「すまん。ふと人の気配があったもので、思わず腕を」

そう言って幸村は幸姫の腕を指差した。うっすらと赤く、幸村の手の大きさくらいのあとができていた。