「すまない」
幸村がまた、頭を下げた。
「どうして?ねぇ。なんで?」
どうしていっしょにいてくれないの?
なんでいっしょにいられないの?
「ゆきむら、こうきのこときらい?」
目ににじんでいる涙を見て、幸村は唇をかみ締めた。
「そうじゃない。そんなはず、ないだろう」
「じゃぁどうして?どうしてゆきむらはいっしょにいてくれないの?ゆきむら、こうきのおとうさんなのに!」
その一言に、幸村は幸姫をぎゅっと抱き寄せた。
「すまない。本当にすまない」
強く抱きしめる幸村の腕を、幸姫は必死で振りほどこうと抵抗する。
「幸姫と一緒に、俺も一緒に暮らしていきたい」
「じゃぁ…!」
「だが、駄目だ。俺は、お館様を守らねばならぬ」
…ゆきむらが、ないてる。
ぽとっと暖かいしずくが、頬に落ちてきた。
頬を伝い、それは冷たくなって、首を伝っていった。
「俺は、お館様をお守りすると誓ったのだ。そして、そのために、命をかける覚悟で今まで生きてきた」
顔を上げると、見たこともない、幸村の顔があった。
「玲子にも、幸姫にもすまないと思っている。だが、これが俺の使命なんだ」
ふっと緩んだ幸村の腕から、幸姫はするっと抜ける。
「ゆきむら、こうきのこと、きらい?」
深呼吸をひとつ。大きく息をすって聞いてみる。
「…そんなわけないだろう?俺の大切な娘だ。嫌いなはずがないだろう」
優しく笑う幸村に、幸姫はぎゅっと抱きついた。
幸村がまた、頭を下げた。
「どうして?ねぇ。なんで?」
どうしていっしょにいてくれないの?
なんでいっしょにいられないの?
「ゆきむら、こうきのこときらい?」
目ににじんでいる涙を見て、幸村は唇をかみ締めた。
「そうじゃない。そんなはず、ないだろう」
「じゃぁどうして?どうしてゆきむらはいっしょにいてくれないの?ゆきむら、こうきのおとうさんなのに!」
その一言に、幸村は幸姫をぎゅっと抱き寄せた。
「すまない。本当にすまない」
強く抱きしめる幸村の腕を、幸姫は必死で振りほどこうと抵抗する。
「幸姫と一緒に、俺も一緒に暮らしていきたい」
「じゃぁ…!」
「だが、駄目だ。俺は、お館様を守らねばならぬ」
…ゆきむらが、ないてる。
ぽとっと暖かいしずくが、頬に落ちてきた。
頬を伝い、それは冷たくなって、首を伝っていった。
「俺は、お館様をお守りすると誓ったのだ。そして、そのために、命をかける覚悟で今まで生きてきた」
顔を上げると、見たこともない、幸村の顔があった。
「玲子にも、幸姫にもすまないと思っている。だが、これが俺の使命なんだ」
ふっと緩んだ幸村の腕から、幸姫はするっと抜ける。
「ゆきむら、こうきのこと、きらい?」
深呼吸をひとつ。大きく息をすって聞いてみる。
「…そんなわけないだろう?俺の大切な娘だ。嫌いなはずがないだろう」
優しく笑う幸村に、幸姫はぎゅっと抱きついた。


