流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜

玄関に着くと、玲子がスーパーの袋を片手に、靴を脱いでいる姿が見えた。

「あ、幸姫。ただいま」

にこっと笑って玲子が言うと、幸姫はダッと玲子に抱きついた。

「おかえりなさい!」

玲子は抱きついてきた幸姫の頭をぐしゃぐしゃっと撫でた。

「今日はごめんね、お迎えにいけなくて。良い子にして待ってた?」

玲子に聞かれて、幸姫は満面の笑みでうん、と元気よく頷いた。ふと、玄関に見慣れない履物が置いてあるのに玲子は気づいた。正確に言えば、現代では見慣れない履物、だった。

「…幸姫、これは?誰かきてるの?」

履物を指差して聞かれて、幸姫はニコニコと笑って頷いた。

「うん!おうちまでおくってくれたんだよ!」

そう言うと、幸姫は玲子の手を引っ張って、リビングへと向かった。玲子の表情が徐々に硬くなっていく。が、幸姫はまったくそれに気づかなかった。

「れいちゃんかえってきたの!れいちゃんはね、わたしのお母さんなの!」

リビングに入ってすぐに、幸姫は幸村に玲子を紹介した。幸村はガタッと腰を浮かせた。玲子も手に持っていた袋をがさりと床に落とした。

「れい…こ…?」

「嘘…まさか……」

見詰め合う2人を、幸姫は首を傾げながら交互に見た。

「どうかしたの?」

ぺたんと玲子が床に崩れ落ちた。目から涙がぽろぽろと溢れている。母の泣く姿に動揺する幸姫。小さな手でこしこしと玲子の涙を拭う。

「れいちゃん、どうしたの?」

玲子の泣いている姿を見て、幸姫も泣きそうになる。

「玲子!」

幸村が玲子を抱きしめた。幸姫はびっくりして、目を丸くした。
が、幸村の目からも涙がこぼれていることに気づき、ふたたびあたふたする。

「ゆっきー…会いたかった…会いたかったよぉ…」

「玲子。本当に玲子なのだな…」

ぎゅっと抱きしめあう2人を、幸姫は不思議そうにじっと見つめていた。