流れ星に願いを 〜戦国遊戯2〜

「どうしたの?どこかいたいの?」

心配そうに顔を見上げてくる幸姫に、幸村は大丈夫、と首をふった。が、辛そうな表情をした幸村に、幸姫はぎゅっと手を握りしめた。小さなその手の温もりに、幸村はふっと優しい表情になった。

「優しいのだな、コウキは」

幸村のその表情に、幸姫は安心したように笑った。

「いこう、おうちはこっちだよ!」

幸姫は幸村の手を引いて歩き出した。

幸姫と一緒に、家まで行く道すがら、不思議なものをたくさん見た。鉄の塊に人が乗って、すいすいと猛スピードでどこかへ消えていったり、チカチカと光を灯したり消したりしているものがあったり、犬になぜか服を着せて、抱きかかえて歩いている人がいたり。


玲子が教えてくれた世界に似ている。


ふと、幸村はそう思った。幸姫はニコニコと笑顔で歩いている。

「なぁ、コウキよ」

幸村に声をかけられて、幸姫は返事をする。

「なぁに?」

振り返って笑顔で答える幸姫に、どこか懐かしい感じがして、幸村は思わず幸姫を抱き上げた。

「家はどこだ?」

幸村に抱き上げられて、幸姫は少しあたふたする。

「も、もう少し」

周りを歩いている人たちが、2人を不思議そうな目で見る。幸姫は恥ずかしくなって、ぎゅっと幸村に抱きついた。

「どうしたのだ?」

幸村が聞くと、幸姫はふるふると首を横にふった。不思議そうな顔をしながら、幸村は、幸姫の案内で、抱っこをしたまま、家へと向かう。


お父さんにだっこされてるみたい。


ふわっと香る幸村の匂いが、幸姫にとってどこか懐かしい感じがした。心地のよい幸村の腕の中で、幸姫はふふっと笑った。