――真っ暗な部屋
PC画面の明かりが目に突き刺さって痛い。

けだるく持ち上げた腕でマウスを動かして
ディスクトップにある
音楽ファイルをクリックする。


すでに日課みたいになった動作。

生涯でのその回数をかぞえたら
たぶん万単位とか
果てしなくバカみたいな数字になるだろうと。



投げ出してた片足を持ち上げて
だらしなく椅子に座ってその時を待つ。


くぐもった歓声、
その後に始まるイントロ。
 
その先に来るものを
リズムとか音階とか流れとか
一寸違わず第三者に伝えられるぐらい
俺は完全完璧に覚えきってるのに。


どうしだって止められない。
飽きることなんて無い。


――やがて音がなくなって、
視界に映ったベッドサイドのデジタル時計を見て
もうほんとは眠らなきゃいけないなって、
頭ではわかってるのに

できなくて。

ちゃんと動いてるんだか、焼け焦げてるんだか
訳わかんなくなってる心音を感じながら

無駄な光を飛ばす
PCのデスクトップをただ眺め続けてた―――。