「良壱、ちょっと。」 レントゲンを撮ったあと石塚は良壱と何かを話していた。 あたしは、待合室で待っていた。 隣で、腕にギプスをはめた男がいた。 目があった。 「“闇の蝶”…。」 呟いている。 あたしは関係ない、という表情をして黙っていた。 「おい。帰るぞ。」 良壱の声が聞こえた。 あたしは立ち上がって、良壱の元へ行った。 「お前、背中折れてないなんて…人間かよ…。」 呟くようだったけど、バッチリ聞こえた。