良壱は大人しくあたしから腕の力を抜いた。 「終わりだ、那瑠。」 少し寂しそうに呟く羽瑠。 それは、二年前から続けられてきた北街の伝説が終わる合図だった。 あたしは嘲笑うように羽瑠を見て、体を反転させる。 帰ろうと足を動かそうとして、振り返った。 「今度、泉って奴、ぶっ飛ばさせてね。」 笑顔で言ってやった。 羽瑠は可笑しそうに笑顔をつくり、 「あぁ、待ってる。」 と返事をした。 良壱を見ると、頬が切れている。 扉の近くに、夏弥が立っていた。 あたし達は、前進する。