『話をつけにいく』と言ったのに。

喧嘩をする気はないと言ったのに。

引き摺った鉄パイプを握る。

「開けろ。」

身震いをするくらい低い声が響き渡る。

その声に従い、大人数は真ん中に道を開ける。

あたしと似てない、背の高さ。

唯一似ているのが、顔立ちと…

「下がれ。」

その低い声。

「…久しぶり、那瑠。」

「久しぶり。」

あたしは肩をすくめた。

家族で、こんなにも近くに住んでいるのに。

何が『久しぶり』だ。