今思えば、あの時石塚が謝っていたのは、この事なのかもしれない。

「でも、良壱や夏弥は、羽瑠を恨まないで欲しい。

確かに、二人の間を壊したのは悪いけど…。

恨むのはあたしだけで充分だから。」

そう言うと、良壱は腕の力を緩めた。

「恨みはいない。でも、自分だけで、背負い込むな。」

「…ん。」

額がコツンと当たる。

「俺からフラフラ離れていくな。」

「…そ、れは無理かも。」

「あぁ?」

楽しむように怒ったような声。

唇が重なった。

あたし、蝶々だから。