良壱の心臓の音が心地よかった。 このままなら、眠れる気がした。 …違う違う。 あたしは何を言ったらいいのか、少し混乱した。 そうしたら、良壱が口を開いた。 「…人の過去を聞くってのは、それなりの覚悟が必要なんだ。」 あたしには、良壱の言ってる意味がわかった。 「聞いた以上、そいつの過去の重さを背負わないといけない。 “逃げ”は通用しない。」 良壱はあたしの家族の話を、あたしの過去を受け止めようとしてくれている。 「…お父さんがね、何年か前に亡くなったの。」