そう言って、良壱はあたしの肩を抱いた。 顔をそっと覆った。 手のひらには、塩辛い水が溜まっている。 「…あたし、眼科行った方が良い?」 良壱に聞いてみた。 「いや。」 「じゃあ、精神科?」 途端に、肩を抱く力が強まってあたしは、お座敷の上を移動した。 良壱の肩に顔をうずめて腕にしがみついた。 他の人いるけど、気にしない。 「…那瑠。」 優しい声。 こんな声でいつも話してくれたら…なんて贅沢な事を考える。