黒いYシャツだった。 しかも、良壱サイズの。 「大きい!」 あたしは言う。 「黙れ、チビ。早く着ろ。外にいるからな。」 良壱は言いたいだけ言って、ドアから出て行った。 「…屈辱…。」 あたしは群青のTシャツを脱いで、黒いYシャツを着た。 その上から、パーカーを羽織る。 外に出た。 夏の暑さの名残がまとわりつく。 良壱はバイクを止めて、待っていた。 「乗れ。」