良壱は高校が近いから、今は一人暮らしをしてるって言っていた。

でも、もしかしたらここに居にくかったんじゃないかと思った。

「…そう。」

あたしは、笑った。

お母さんも優しそうな人だった。

帰る時、呼び止められた。

「那瑠ちゃん。」

「はい?」

「良壱と夏弥のこと、名前で呼んでくれるのね。」

あたしは小首を傾げた。

「いつか、あの2人を龍や虎じゃなくて。名前で呼んでくれる人がいるのを2人は待っていたのよ、きっと。」

似たような言葉を聞いた事があった。

「お邪魔しました。」

涙が零れた。