夏弥だった。 「那瑠!!」 すごく嬉しそうにあたしを見て、頭を撫でてくれた。 犬みたいだな…と思う。 「あ、良壱呼んでくるね。」 「待って。ここはどこ?」 夏弥の後ろ姿に問いかける。 振り返って、さっきとは違う穏やかな笑顔で、 「俺らの家。」 そう言って部屋を出て行った。 “俺ら”の家。 ここに、良壱と夏弥の家族がいる。 …安心してる場合じゃない。 血の気が一気に引いた。 またドアが開く。