こつんと額が当たった拍子にあたしは目を瞑った。

しまった、と気づいてからでは遅い。

目を瞑ったら、完全に良壱のペースに巻き込まれる。

口を割って舌が入ってくる。

その瞬間、携帯のバイブ音。

良壱は舌打ちをして、ガラステーブルの上の携帯を取る。

あたしは慌てて、体制を戻した。

「…何か用か?」

苛ついた声。

怒りの炎が出て、こっちまで火の粉が…。

電話越しに聞こえる声は夏弥のようだった。

少し離れたあたしをまた良壱が引き寄せる。

『もしかして、お取り込み中だった?』

クスクスと楽しげな声の夏弥。

…死ね…。