あたしは夏弥に視線を向けて、言った。 「…あんた達から聞きたかったから。」 性にも合わず、そんな言葉を吐く自分がいた。 「だから、謝んないで。」 良壱がこっちを向く。 「わかった。」 そして、次に紡ぎ出されるのは。 「二年前ー…。」 期待された少年と。 欠けたものを取り戻そうとする少年の。 悲しい話だった。