夏弥は鈴を近くの男子らに受け渡し、あたしは良壱に引っ張られた。 どうやってバイクに乗ったのかの記憶もなく、ちゃんと気づいたら、倉庫の部屋にいた。 二年前もこういう風に、記憶を飛ばしていたのかもしれない。 「…悪い。」 あたしが言わなければならないその言葉は、あたしの口ではない人から出た。 ローファーを脱いで、ソファーに膝を立てていたあたしは、良壱の方を見る。 「…なんで良壱が謝るの?」 部屋の中には、夏弥もいた。