スッと冷静になる自分がいた。 あたしのカバンが遠心力で鈴の顔面にあたる。 鈍い音が響く。 自分が怖くなる。 もう普通に戻れないんじゃないかって。 よろめいた鈴のみぞおちに蹴りを入れる。 倒れた鈴に蹴りを入れようとしたら、強い力で腕を引っ張られていた。 「…那瑠っ!!」 名前を呼ばれて、現実に引き戻された。 夏弥は呆れた顔をして鈴を起こしていた。 あたしの腕を掴む良壱の力は痛いくらい。 やってしまった、と感じた。