良壱の腕の力が緩んだ。 「お前が言ったんだろ。自分の家は604だけだって。」 あたし…。 夏弥に言ったのだけど。 「そう…だったみたい。」 「で、お前の家族は?」 どこまでも、しぶとい良壱。 あたしは無理に笑って、良壱を見る。 「平和な家族。あのマンションは、あたしが遊ぶためにくれたの。」 そう言った。