「ままぁ。なんであのお姉ちゃんが先なのぉ?」

「お金持ちは…あうゆうことを平気でするからよ。」

そう、後ろから聞こえた。

怒りがこめられた言葉だった。

私はその女の子達に振り返った。

「…あの…」

「話し掛けないでくれる?お嬢様。」

女の子の母親がキッと睨んで私の言葉を遮った。

「……っ。」

何も言えなくて、お父様の所に向かった。


観覧車の所で湊飛と話しているお父様に声をかけた。

「おと…っ!」

「湊飛、私には時間がないのだが。」

「社長…っ!お嬢様はいつも我慢なさっているんです。今日ぐらいは…。」

2人は私に気が付かないのか話し続けている。

「はぁ…。我慢など、欲しい物はあたえているはずだ。」

「…社長…。物を与えているだけではお嬢様は…。」

「まぁよい。そんなに興味もないしな。」


興味……がない……?

お父様……?

「社長…っ。
 !!お嬢様!!いつからここに?!」


でも、私にはそんなの聞こえてなかった。


「……お父様、乗ろう?」

こうゆう時、人は冷静になれるんだなって思った。

「では、詩依良行こうか。」

にこっと笑ったお父様の目は冷たかった。

「…うん!」

だから、私も笑ってあげたんだ。
嘘の笑顔で。



「お嬢様……っ。」

湊飛が私のことを悲しそうな声で呼んだけど、聞こえないことにした。




《興味がない》

そんな言葉、私を傷つけるには充分すぎて。



「あははっ……!」


笑うことしかできなかった。