チン── 音がして扉が開く。 すると、親父の専属秘書が立っていた。 「高橋さん、父は?」 「社長なら社長室におられます」 「ありがとう」 「いえ。では、失礼致します」 高橋さんとは、 確か歳が近かった気がする。 だから話せば話は合うと思うが、 真面目な女性で 仕事の話以外で会話したことはない。 その方が俺も助かるから これから先もそうであってほしい。