「いってきます」 「いってらっしゃい」 ドアノブに手をかけたが、やめて 振り返る。 希未は “どうしたんだろう”といった 表情だったけれど 数秒後には理解したようで 俺にキスをして、もう一度、 「いってらっしゃい」 と言った。 何してんだろうな、俺。 まるで新婚生活を送ってるみたいだ。 よく考えてみると、 かなり恥ずかしいことしてるよな… いや、よく考えなくても かなり恥ずかしい。