「莉子ちゃん、今頃…楽しんでるかなあ」

あたしは部屋にかかっている時計を眺めた

「あ? あいつと楽しむ必要なんてねえんだよ
さっさと喧嘩して、帰ってくればいいんだ」

今は7時過ぎ

きっと藤城君と、夕食でも食べているだろうなあ

恋人同士の食事って、どんな感じなのかな?

どんな料理もおいしく感じるほど、甘い時間になるのだろうか

「9時になったらすぐに鍵をかけてやる
桃香、8時55分になったら俺に言え
莉子の携帯に電話してやる」

「そんなに苛々しなくても……」

「藤城だぞ?
どうしてあんな奴がいいんだ」

勇人さんはソファをぼすっと拳で叩いた

無意識に叩いたのだろうか?

腫れている手を振ると、痛そうに顔を歪めていた