「ばあちゃーん、今日のオヤツ何ー?!」

懐かしい祖母の柏餅を食べていたら、家の敷地内から声が聞こえた。

その声の主はこちらに近付いて来て、縁側からひょっこり姿を見せた。

同い年くらいの、日に焼けた男の子。

「あれー?!ばあちゃん家に知らない奴が居る!」

いきなり指を指された。
年の割りに、子供みたいな仕草が目立つ。

「誰?あんた。」

「・・・瀬尾美依(セノオ ミイ)。」
名乗れば、何かを呟きながら、うーん、と考える仕草をした。

数分くらい考えた後、ああ!!と、突然大声を出された。

「美依?!うそ!美依なのか?!久しぶりじゃん!!」

久しぶり、と言われても私は覚えてない。

沈黙する私を見て、少年は焦った様だ。

「え、おれの事覚えてない?!おれだよ?有村宏之(アリムラ ヒロユキ)!!昔一緒に遊んだじゃん!」

そう云えば、宏之と言う名の子と遊んだ記憶がある。

「もしかして、チビで泣き虫の宏之?」

「うわひどい!そうだけど、そんな風に覚えなくてもいーじゃん!」

それは仕方がない。
記憶の中の宏之は、泣いている事の方が多かった。
それに、今も背は私より数センチ低い様だし。