小さな嗚咽が聞こえた。 「香ちゃん、大丈夫よ。ママは香ちゃんの事を見守っているんだからねぇ。」 おばあちゃんの声がする。 私は襖を静かに閉めた。 香は誰よりも深い悲しみに落ちていたんだ。 香のお父さんもそうかも知れないけれど。 みんなの前に出られないくらいに、今悲しいんだ。 私はその場を離れた。 どっちが会場だかわかんないけど、すぐに離れないといけない気がして。 「志緒ちゃん。どこ行ってたのよ。」 ママに見つけて貰って、帰れた。