「おい、姉ちゃん…。いや、気のせいか」
「どうした?」

狩野が聞く。
門番が狩野を見返す。

少しの間。

「いや、なんでもない。廃墟かぁ。今日はあまり吸血鬼発見の連絡が無いから大丈夫だと思うぜ」
「了解。じゃ、行ってくるわ」

門が開かれる。
二人は外に出る。

「あの門番、何を言いたかったんだろうな?」

由井は答えない。

「…由井?」
「あ、な、何?」
「どうした。ボーっとして?」
「いや、なんでもないよ。行こうか」

二人は歩き出す。

その二人を門番が窓から見続けてるのを…彼等は知らない。