「アメリカと日本を往復するのが、どれだけ大変か判ってる?」


「だから、頻繁にこっちに戻る必用はないって言ってんだろ?曲は作ったら送れるし…」


「あのねぇ…」

水月は、大きなため息を付いた。

「日本で出す曲なのに、何でアメリカで作曲しなきゃいけないの?それに俺、幸矢さんに逢うたび泣き付かれるんだよ?「一度帰国して以来、朱月が一度も日本に戻って来てない!」って…」


「俺が日本に戻んなくても、幸矢さん来るじゃん」


「だから、それは朱月が帰らないからだよ。幸矢さんは忙しいんだから、朱月が気を使ってあげないと」


よく言ってくれる。

俺だって、水月が来るたびに仕事を持ってくるせいで、あまり自由な時間が取れないというのに…。