嘘で隠された現実(リアル)

「本当に覚えてないみたいね」


俺が嘘を付いているわけではないと判ったらしく、女性は残念そうに肩を落とした。


「だから、誰なんです?」


周りの視線を集め出したことに気付き、俺は迷惑だという意味を込め、視線と言葉を投げ掛けた。


「ライブの日に逢ったでしょ?と言っても、直接ではないけど」


そう言われて、漸く気付いた。

水月と話していたとき、離れた場所に立っていた女性だ。

あのときは顔なんて見えなかったのだから、この女性の顔に見覚えがなくても仕方がない。