「けど俺は自分の命とは取り替えない。だって取り替えてしまったら守っていけなくなるから。自分がもう守れなくなるのに手に入る…――それ以上に切ないことはない。それに俺の命はその"大切なもの"に比べるととても矮小なものだから……だからそれ以前に取り替えてもらえない……。」


「そうかもしれない。けど以前の私だったら取り替えていたと思う、それ程"あなた"の存在は大きかったの……今もだけど」


少女がはにかみながら答える。


「俺も"お前"の存在がとても大きい。だから欲しいものがあるならそんな不可解なやつに頼まないで……俺に頼めよ」


少年はそう笑いながら言うと、先程まで読んでいた本をまた読み始めようとさっきのページを探し始めた。
そんな少年の様子に
ほほ笑みながら少女も先程までやっていたゲームを再び始め…


先程のような穏やかな時間がまた流れ始めた。